詩・シャルル・ポール・ド・コック   曲・イヴェット・ギルベール
イヴェット・ギルベールの《こんな風に愛される時》

とっても幸せなの私、ぼうっとしちゃいそう。
それに、この恋は、冗談事じゃないの。
美男子ラウールを征服したの。
愛されて、得意なのよ。
彼氏のおかげで分かったわ。
絶望や、涙や、その他いろいろと、
私を窓から放り出そうとしたこともあったわ。
何て嬉しいんでしょう。
こんな風に愛されるなんて。(くりかえし)

始めて、私にやさしくしてくれたとき、
こわくなっちゃった
目玉をギョロつかせるんですもの。
そのときから
何かしてあげると、
あとがつくの
胸にもアザができたわ。
彼がのぼせたときは、逃げるってことも度々よ。
だって私を愛するとき、彼って
スカートやドレスをちぎりそうな勢い。
何て嬉しいんでしょう。
こんな風に愛されるなんて。(くりかえし)

抱き上げられたら
逃げられやしないわ。
ぎゅっとしめつけられるんで
息もつけないの。
ほっぺたを、
軽く叩かれても
たちまちはれてしまうわ。
手をおさえられると
ねじあげられたよう。
指に触ったらつぶされたかと思う。
私にキスする時は
噛み付くよう。
何て嬉しいんでしょう。
こんな風に愛されるなんて。(くりかえし)

彼が
散歩に連れて行ってくれる時は、
裏通りの
埃っぽい道を歩くの。
誰かが通ると、ラウールはごきげんななめ。
私は大急ぎで
目を伏せてなきゃならないの。
もし振り返ろうものなら、
ごらんなさいよ、
私をつついて、ささやくの
〈お前の顔をひっぱたくぞ
他の男なんか見ると〉

なんて嬉しいんでしょう
こんな風に愛されるなんて(くりかえし)
「こんな風に愛されるなんて」
Yvette Guilbert (イヴェット・ギルベール)1867〜1944